006 切削:穴加工のトラブル事例
1. 意外と多い穴加工に関するトラブル
切削加工で穴加工に関するトラブルが意外と多いです。
前回ご紹介した下穴や工具の不完全部分の存在を忘れての指示不足も1つですが、それ以外にも様々なトラブルが発生しています。
今回は典型的なトラブル事例をご紹介します。
是非出図前に一度該当しないか確認してみましょう!
2. 深すぎて曲がる
基本的に穴加工はドリルを使用します。
深い穴は一般にロングドリルと呼ばれるような、長いドリルを用います。
あるいは、ガンドリルやBTAと呼ばれる深穴専用の加工機械を使用するケースもあります。
いずれにしても深い穴を開けるときに問題となるのが曲りです。
深くなればなるほど、材質が固いほど曲がりやすいですね。
例えば上図のように、片方から深い穴を貫通で開ける場合を考えましょう。
理想は上のように真っすぐに穴を開けることです。
しかし、現実には下のように深くなるほど曲りが大きくなって、本来貫通してほしい位置からずれてしまいます。
場合によっては1~2mmほどずれてしまう事もあります。
精密な穴位置が必要な時などは、困ってしまいますね。
3. 深穴のトンボ加工
このような場合に良く行われるのがトンボ加工です。
トンボ加工は上図のように、まずは片側から中央付近まで穴を開けておき、次に反対側から穴を開けて中央付近で貫通させるという加工方法です。
こうすることによって、どちら側も穴位置をより正確に開けることができますね。
ただし、トンボ加工の場合、中央付近で若干の段差が生じます。
穴位置自体のずれに加え、穴の曲りが生じるためです。
設計上この段差が許容可能かどうか吟味する必要がありますね。
図面に「トンボ加工可」「中央付近の段差は0.2mm以内なら許容」などと注記を入れていただけると、製造現場は大変助かります。
3. ギリギリすぎて盛り上がる
穴加工はもともと材料が詰まっているところを、工具が削って掘り進みます。
当然周囲には外へ押しやる力が加わりますね。
気を付けていただきたいのが、壁際ギリギリの穴です。
上図のように壁際ギリギリに穴加工を施すと、壁面に盛り上がりが生じる場合があります。
図面上多少のクリアランスがあったとしても、材料が外に押しやられることで盛り上がりが生じます。
あるいは、ネジの有効長を確保するために、下穴をギリギリまで開けると、底面にも盛上がりが生じる場合があります。
穴加工は特に壁面や底面との猶予を十分に設計したいですね。
半径分程度は猶予を持たせると良いと思います。
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